本論は、淡江大学日本語学科教授の陳伯陶先生が古稀の退官にあたり、一九八三年から一九八七年まで小生に対する在学中の学恩を覚えながら、記念としてお捧げ致します。まず、日本国憲法における二重学の基準論を紹介・提唱する動機および理由について、はじめには前書きとして述べられている。すなわち、人権には、精神的自由と経済的自由との間に、価値序列があるかどうか、二分化されうるのか、またはそもそも人権というものは、一体ととしもて不可分のものでにあるかという問題を提起する。次に、もともとアメリカ憲法に適用されている二重の基準論は、どのように日本国憲法に導入されてきたかについて述べられている。すなわち、伊藤正己教授の学説からアメリカ憲法判例における二重の基準論の紹介および芦部信喜教授の学説から日本国憲法における二重の基準論の受け入れの提唱ならびに二重の基準論を日本国憲法に具体的に適用する諸学説を整理して、それを前記の問題提起に対する一つの回答としようと考えている。最後には、以上のような日本国憲法におけする二重の基準論を仮に台湾の「中華民国憲法」に導入する場合に、どのような問題に直面するかについてを結びに代わって問題を提起するのである。