本稿は第二外国語としてのフランス語と、フランスでは自動翻訳(Traduction automatique)と呼ばれる機械翻訳との関係を考察している。機械翻訳の進歩は目覚ましいが、フランス語教育ではその活用が検討され始めたばかりだ。そこでフランス語初級学習者たちにグループで、機械翻訳に翻訳させた文とフランス語の原文とを比較、問題点を指摘させ、最終的に彼ら自身で原文を翻訳させた。学生はスマートフォンなどを使いながら機械翻訳の誤った訳や、訳されていない箇所を指摘し修正し、それらを自分たちの翻訳に反映させた。また機械翻訳に頼ったとしても、文化的背景がわからないと適切に訳すことが難しい単語、表現があることも学生たちの翻訳から確認できた。言語がその国の歴史や文化などに裏打ちされた所産であることを再確認する機会を機械翻訳はわれわれに与えた。さらに学生は講読の中に機械翻訳を導入することに前向きな意見を持っていることが授業で実施したアンケートから明らかになった。