改革開放以後、中国人国際移動「新移民」、特に留学生の移動は1990年代後半以降急速に拡大し、中国政府も制限や帰国奨励の対象から、経済成長及び国際社会での地位向上の戦力と位置づけ、政府による組織化と指導を強化している。日本でも現在、在日中国人は60万人、留学生も7万人超に拡大し、2008年に提起された政府の高度人材確保に向けた「留学生30万人計画」実現の鍵も、いかにして中国人留学生の受入を成功させるか、にある。と同時に、受入には中国人留学生の4分の3が帰国せずに海外に残留しているという特徴、中国の僑務政策の変化に注意を払う必要がある。諸外国に眼を向けると、シンガポールは中国人流入を脅威と見る一方で、経済成長、中国との円滑な連携のため、積極的な中国人の人材誘致政策を実施している。また、両岸関係改善で中国人学生受入を模索する台湾では、受入への期待も大きく、馬英九政権には受入実施に際し政策研究、理解促進の努力が求められている。