悪魔のように賢く、戦略的な作家だと評価される松浦理英子は、女性同士の強烈かつ濃密な性愛を描くことに長けており、官能性に富む抽象的観念小説により一貫して性器結合中心主義や既成の性愛観を嘲弄している。本稿では、まず松浦理英子の創作理念に触れ、『親指Pの修業時代』を主な分析対象とし、フーコーの理論を援用して「異常」な身体性を持つ登場人物の身体の表象を分析しながら、女主人公が如何に「従順な身体」から目覚め、身体の声に忠実に応えて新しい恋愛観や性愛観を求めているかを明らかにする。また、ドゥルーズの「器官なき身体」という論述にも応答しながら、作者が追求する、「流動する」性愛観と恋愛観が如何に構築されるかも射程に入れつつ検討を行う。
被譽為有如惡魔般聰明、且深具戰略意識的作家松浦理英子,擅長以官能性觀念的小說來刻劃女同性戀間濃密而強烈的情感,藉以嘲諷性器結合中心主義或既有傳統的性愛觀。本研究計畫首先試圖爬梳松浦理英子的創作理念,將以其代表作《拇趾P紀事》文本為主要分析對象,從傅柯的身體論述觀點來探討作品中的身體意象,分析女主角如何在身體產生變化後,從「馴服的身體」(docile bodies)中覺醒,進而以身體之真實感受來重新建構其戀愛觀與性愛觀。其次,本研究計畫將呼應德勒茲的無器官身體論述,來探討作者如何建構其理想的、流變的戀愛觀/性愛觀。