日本における労働関係で最近特に注目されているのは、人手不足と移民受け入れの問題、長時間労働と労働者の健康保持の問題、そして非正規労働者の待遇改善の問題であろう。その中で、長時間労働と非正規労働者の問題については、平成30年6月にいわゆる「働き方改革法」が成立し、一定の方向性が示された。本稿では、その中でも長時間労働抑制を主眼に置いた労働時間法制の改正について紹介する。法律では、残業の上限が設定されるなど、強力な制限が導入されたが、同時に様々な例外も用意された。これまでもパッチワーク的に導入された日本の従業員代表制度がここでも活用されることとなったが、労働時間規制とその例外に適合的なものとなっているのか、問題点は多い。