本稿は日台間の「人の移動」の特徴と課題に関し考察を行う。台湾においては日本や日本製品に対する好感度が比較的高く、日本- の訪問者数も極めて高い。しかし、日本における台湾人の在留資格は、依然、観光に代表される短期滞在に限られており、日本において様々な在留資格で滞在する中国人や韓国人とは大きな差異がある。また、台湾に居留・停留する日本人の多くが「ビジネス」「親戚訪問」「修学」などの資格を持つ状況とも非対称性をなす。一方、観光促進のため政府主導によるキャンペーンが行われているが、本稿においては日本人の韓国旅行の動向と東日本大震災における台湾支援の影響を例に、観光動向は、むしろメディアや国民感情に大きく左右されることを示す。