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内なる〈異郷〉-今敏『パプリカ』における夢の描出について

摘要


今敏(1963-2010)は日本のアニメーション監督であり、国内外で高い評価を受けている。最後の映画となった『パプリカ』(2006)は、筒井康隆の同名小説(1993)を映像化したものであり、夢の世界が映画の舞台となっている。ここで描かれる夢の世界は、郵便ポストや家電製品が行進し、映画の世界を模倣し、人間が植物や動物に変身してしまうような、現実世界とは異なる論理が働く世界である。今敏のアニメーションは、しばしば実写映画との関連が指摘されるが、夢を〈異郷〉として設定し、物語の舞台とする映画は多く存在する。今敏の『パプリカ』における夢の描写も、まさに〈異郷〉と呼ぶにふさわしい様相を呈している。従来、写実的なスタイルを貫いてきた今敏が、現実世界の物理法則に囚われないシュルレアリスティックな世界を描き出したという点でも、『パプリカ』は今敏のキャリアの中で異質な映画だといえよう。本発表では、アニメーション映画『パプリカ』において登場人物たちが訪れる夢の世界を〈異郷〉として捉えることで、日本における〈異郷〉の概念や原作小説との比較から、同映画における〈異郷〉の特異性を明らかにする。第一章で発表の主旨を述べた後、第二章では日本における〈異郷〉の概念を確認する。第三章では、原作小説と映画の比較を通して、『パプリカ』に現れる今敏の作家性を検証する。第四章では、日本における〈異郷〉概念から見た場合の映画版『パプリカ』の〈異郷〉性について考察する。第五章では、映画版『パプリカ』に見られる境界侵犯のタブーという主題と、その象徴として作中で言及されるイマジナリー・ラインについて述べる。第六章では、多くの異郷訪問譚において〈異郷〉がユートピアとして描出されているのに対し、『パプリカ』における〈異郷〉がディストピアとしてイメージされていることを、エイゼンシュテインのディズニー論との関連の中から主張する。

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