透過您的圖書館登入
IP:3.138.141.138
  • 會議論文
  • OpenAccess

谷崎潤一郎にとっての上海-異界から異郷へ

摘要


谷崎潤一郎は、1918年と1926年に短期の中国旅行をしており、1回目、上海は旅程の一部だったが、2回目は上海だけの滞在である。上海体験を使った作品はいくつかあるが、その中から、1920年に雑誌連載された未完の「鮫人」と、1928年から翌年にかけて新聞連載された『蓼喰う虫』を取り上げ、比較検討したい。「鮫人」は1回目の旅のあとに書かれた。林真珠という浅草で人気を得ている若い女優をめぐる謎が、浅草と上海をつないで展開する。谷崎は距離感をうまく操作して「永遠の女性」像を生み出す作家である。ここでは上海が異界の役割を果たす。幼い時から漢詩文に親しんでいた谷崎にとって、1回目の旅はその中国への憧れが満たされた旅だったが、そこに浅草とつながる性格が付与されることで、「鮫人」独自の世界が現れる。『蓼喰う虫』は自身の離婚問題を素材とし、舞台は関西である。そこに上海から主人公の従兄弟がやってきて、離婚問題が停滞して悩む夫婦に現実的なアドヴァイスをする。なぜ従兄弟は上海に住むという設定になったのか。そこに2回目の上海体験があり、1回目の旅とは違った意味での異郷が現れていたと考えられる。2回目に行った上海は、前年に起きた5・30事件が記憶に生々しい時期であった。上海で会った人々から谷崎はそれを学ぶ。2作品を通じ、谷崎にとっての上海という場の持つ意味を考えてみたい。

關鍵字

無資料

延伸閱讀