戦後女性文學におけるセクシユアル•フアンタジ－河野多惠子の「幼児狩り」を軸として

Sexual Fantasy in the Postwar Japanese Women's Writing-Kōno Taeko's "Toddler-hunting"

陳美瑤(Mei-Yao Chen)

《台大日本語文研究》 20期 (2010/12) Pp. 37-59

https://doi.org/10.6183/ntujp.2010.20.37

摘要

敗戦後、それまで女性を抑圧し続けてきた制度の崩壞によつて、女性作家は女性という自己に向かい合いながら、自由自在に自已表現を求められるようになつた。一九六○年代の女性表現は、まだモデルのない新時代の、しかも最先端をいく女たちの抱える內的分裂、セクシュアリティの不安、男性との性的関係の決裂、家族や母性からの逃走などをテーマとするところから始まつた。
本稿では精神分析とジェンダーという視点から河野多惠子の作品におけるサド•マゾ嗜好の男女性愛関係と、女主人公のエロテイツクな志向に基づく子供に対する殘酷な虐待幻想の意味合いを読み解き、女性作家として河野が如何に女性のエロスの位相で女自身の快楽を追求し表現したかを解明しようと思う。主な分析対象は新潮同人雜誌賞を受け、注目された「幼児狩り」(1961)とする。問題作と思われる「幼児狩り」だが、この作品における「性」というテーマに投げかけた供への偏愛と被虐的な感受性が、河野の後期の作品にまで続く主なトピツクだからである。この作品を深層から読み解くことを通して、河野が如何に戦略的に「倒錯」や「狂気」を用い、従來の女性作家が踏み込まなかつた領域まをも開拓し、不条理を生きる女性が自主性を獲得したか、その過程が垣間見られるのではないか。

關鍵字

河野多惠子 ； 幼児狩り ； 幻想 ； SM ； 女性性

並列摘要

Among the Japanese women writers of the 1960s and 1970s, Kōno Taeko explored some of the most offensive themes, such as sado-masochism, infanticide, and presented some of the most disturbing images like bloody maltreatment of young boy in her fantastic stories that were arguably intended to deconstruct the confined gender roles in society and to challenge the rigid Japanese family system in Japan. In light of psychoanalytic theory, gender studies and gaze theory, I will employ text analysis to examine the context of one of Kōno's representative short stories, ”Toddler-hunting,” (1961) in order to discover one of the no less significant women's writing strategies.
This research is intended to provide in-depth feminist theoretical interpretation of Kōno's writing in particular, and to explore the sexual-political ambitions of the Japanese women writers in general wherever they employ stunning fantasy as their writing strategy.

並列關鍵字

Kōno Taeko ； Toddler-hunting ； fantasy ； SM ； female Sexuality

參考文獻

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