文章における各種の文型の機能については既に多くの論が提起されているが、それらの論における基本的な立脚点の一つに、三尾砂氏によって提唱された「現象文」「判断文」の文分類がある。それを受け継いで、文章論に応用し、広く認められるに至った論の一つとして永野賢氏の文法論的文章論での文型分類がある。しかし、日本語教育においては、そのような内容の分別に基準を置く文分類は、文型との一致が見いだしにくい点で、実地には応用しにくい。本稿は、実際の文章で用いられた文型の用法から、文章構成との関りを見出そうとする考察の手始めとして、文章の冒頭における「~ている」の文型を取上げ、用法の分類を試みた。その結果、定まった時を持って「~は~ている」で最初の登場者を示す場合、「~が~ている」で次の登場者を示す場合、頻度または不定の時を持って「~は~ている」または「~ている」の文型で各種の登場者を示す場合の三つの区別が見つけられた。