日本の中華料理とその速食文化的状況

Refined Chinese Cuisine & Chinese Fast Food in Japan

松平誠

《中國飲食文化學術研討會論文集》 第5屆 (1998/06) Pp. 161-179

https://doi.org/10.6641/PICCFC.1-8.1998.05.10

並列摘要

1.日本の中華料理精緻レストランの国際的ニ重性 日本は世界に比類のない国際食文化の見本市である。とくに、東京都心部には世界中の料理人が群れ集まり、日本人を主たる顧客として、ほとんどあらゆる国の特色ある料理をつくり、提供している。とくに、中国精緻料理は、台湾．香港．中国から本場の料理人が数多く集まっでおり、国際的な評価を得ている。しかし他方で、日本の都市には、各地の食文化と、名前は同じでも、内容がまったく異なるものが氾濫している。日本は古来、外来の文化を取人れ、日本文化のなかに吸収して、いく展開技術に極めて長けている。食文化においても、その特徴はよく発揮されており、似て非なる外国料理や、外国產でありながら、歴史のなかで日本料理化したものが大変多い。また、第ニ次世界大戦後は、日本食文化の伝統を外国の市場のなかにいれ込み、海外の食文化に新しい分野を開いていくものもある。フランス料理ではヌーベルキュイジーヌを開発し、アメリカ西部では、カリフオルニアロールをつくりだしでいる。中華料理においても、横浜．神戸などの中華街では、経営者．料理人ともに二代目．三代目が中心になっており、そのために、中国語よりも日本語が達者な店主がたくさんいる。そのため、料埋も、日本入の好みに合わせて淡白で少量なものもが目立ち、日本的中華料理の特性をあらわしているものも少なくない。2.日本人の食べる中華科理日本における中華科理 は、家庭内で調理されるものゃ半調理品と、科理店で提供さ九ろものとがあろ。前者のメニューには、中華麺、シュゥマイ、ぎょうざ、まーぼ豆腐、各種の炒めものなどがぁるが、テレピ料理番組には頻繁に登場すろものの、家庭では半製品を使うことが多く、素材から理していろ家庭は少ない。一方、外食での中華科理の比率は様々な統計をみても、外食瑕]用全体の一五%前後でぁる。因みに、一九九五年において、日本国内の消賽者ヵゞ外食に支出した総額は二八兆円、人ロ一人当りになおすと、二二万三千円にもなろという。(財団法人外食産業総合謂査研究センター推計)そのうち、食ぺ物を主に提供していろ飲食店での消費は四三．八%でぁる。一九七〇年代なかぱから九一年にかけては毎年ほほ五から一〇%の飛躍的な伸ぴを示してきたが九二年からは伸ぴがとまり、停滞した状況になってぃる。3.速食としての中華料理 日本の各種統計のなかでは、Q.S.のなかを、料理別に区分けしたものはいまだ存在しない。そのため、速食としての中華料理がどの程度浸透しているかは、明確でない。ただ、現在の段階では、Q.S.とぃえは、上にぁげた日本マクドナルドゃケンタッキー．フライドチキンのょうなアメリヵ系統のものと平行して`日本独自の各種弁当形式にょろティクアゥトゃ種類．丼物のG.S.が展開されている。こうしたところでは、寿司ゃ洋式．和式の各種弁当とならんで、中華科理の弁当が提供されていろし、うどん．そぱのQ.S.とならんで、ラーメン．ぎょうざを専門とすろQ.S.も盛んでぁろ。牛丼ゃテンプラなどの丼物速食チェーンで中華丼が是供されている例もある。こうしたなかで、1980年代に一時、東京新宿に飲茶専門店が生まれたことがあるが、ぁまり発展せず、最近になって、ようゃく飲茶専門店のブームに火がつきにじめてぃる。4.通時的に見ると 日本には、三〇〇年の伝統をもっ独自のQ.S.の歴史があり、一五〇年前の江戸には三七六〇軒のそば屋がぁり、屋台形式の寿司屋、テンプラ屋なともたくさんぁり、大衆的な外食の原点となった。日本の都市化が急速に進んだのは、一九六〇年代の経済高度成長期以来のことである。この過程で、旧来の家庭生活のシステムが崩壌し、女性とくに主婦の就業率が五〇%を超ぇる時代となった。こうしたことは食事文化にも強い影響を与ぇ、半製品．完成食品にょろ家庭食寡形式が急速に一般化した。また、国民所得が增大し、女性が社会に進出したことと関係して、外食の機会が增大し、外食産業が様々な形で展關するょうになった。現代の日本速食は、こうした日本独自の風土を土台にし、アメリヵから上陸した速食文化がこれに加ゎり、さらに日本独自のぁらたな形態がくゎゎって形成されたものでぁる。現在は、外食產業全体が停滞期にはいってぃろが、そのなかで食事の選好と差別化がすすんでぉり、二ー世紀にむかって、ー層鮮明な精緻食文化と速食文化の而種極化が進展している。こうLたなかで、日本にぉけろ中華科理とその速食文化は、一層日本人の嗜好性にぁったものとして定着していくものと思ゎれる。