ヤンキー(不良少年少女)とオタク(サブカルチャーに没入する男女)。かつて論者は拙論「AKB48に観るヤンキー文化とオタク文化の接合関係について」(『応用語文学報』国立台中科技大学語文学院第四期2016.12)において、しばしば対立的に捉えられてきたその二つの集団に見受けられる文化的特徴が、AKB48のなかで分かちがたく結びついていることを指摘した。その続編となる今回の論考では、分析対象をAKB48の主演ドラマや代表的なシングル曲の歌詞といったコンテンツへと広げ、AKB48というグループが自覚的にヤンキー/オタク文化両者の結節を試みていたことをいまいちど論証していこうと思う。そのうえで本論では、昨年、新潟を拠点とするNGT48でおきた暴行事件について触れ、ヤンキー/オタク文化の接合を意識することが、今後このような事件が(AKB48を中心とする現在のアイドルシーンにおいて)再発することを防ぐその倫理的な糸口を内包したものであることを証明したいと考えている。