本稿は中華民国(台湾)における主要法学部と代表的な経営関係学部の専任教員の最終学歴を調査することによって、日本の大学院が留学生に行っている法学研究者養成と経営学研究者養成のいずれが相対的に成功しているかを検討した。その結果、法学研究者養成の方が相対的に成功していることが明らかとなった。その背景として、歴史的経緯から中華民国(台湾)の法体系が日本の影響を受けていること、経営学は法学よりも研究業績評価の国際化・制度化が進んでいるものの、日本の大学の対応が十分ではないことが考えられる。研究評価の国際化・制度化が進展している分野での研究教育体制をどのようにしていくのか、日本の文科系大学院が抱える課題の1つとして指摘することができる。